拾い上げた殻(から)を風の奏でが嬲(なぶ)る もう孵(かえ)らないと月の涙の禊(みそぎ) 始まりは唐突(とうとつ)に祈るような終わりへ もう還(かえ)れないと独り鎖縛(さばく)の世迷(よま)い 失(な)くしたものさえ知らず足跡を残す何処へ 紅(あか)く弾(はじ)け咲いた感情は 忌(い)み子(ご)の慟哭(どうこく) 生み出されることもないままに流され消えた 最果ての鱗光(りんこう)に揺れる渇望(かつぼう)の種(たね) もう帰(かえ)らないと謡(うた)い三途(さんず)の渡し 灰の積(つ)もる丘の上で