岸壁の母~歌謡節「母の叫び」入り~
作詞:藤田まさと 作曲:平川浪竜
浪曲作詞:室町京之介 歌謡節作曲:二葉百合子
母(はは)は来(き)ました 今日(きょう)も来(き)た
この岸壁(がんぺき)に 今日(きょう)も来(き)た
とどかぬ願(ねが)いと 知(し)りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて
「又(また)引揚船(ひきあげせん)が帰(かえ)って来(き)たのに、
今度(こんど)もあの子(こ)は帰(かえ)らない…
この岸壁(がんぺき)で待(ま)っているわしの姿(すがた)が見(み)えんのか…
港(みなと)の名前(なまえ)は舞鶴(まいづる)なのに
何故(なぜ)飛(と)んで来(き)てはくれぬのじゃ…
帰(かえ)れないなら大(おお)きな声(こえ)で…」
呼(よ)んで下(くだ)さい おがみます
ああ おっ母(か)さん よく来(き)たと
海山(うみやま)千里(せんり)と 言(い)うけれど
なんで遠(とお)かろ なんで遠(とお)かろ
母(はは)と子(こ)に
と云(い)うてあの子(こ)が 死(し)んだとは
何(なん)で思(おも)えよ 母(はは)として
せめてお金(かね)が あったなら
この岸壁(がんぺき)に 小屋(こや)を建(た)て
ソ連(れん)の港(みなと) ナホトカの
空(そら)へ向(む)かって 声(こえ)あげて
新(しん)ちゃん早(はや)く 母(かあ)さんの
胸(むね)にすがって おくれよと
呼(よ)んで叫(さけ)んで その日(ひ)まで
生(い)きて行(ゆ)きとうございます
空(そら)を飛(と)び行(ゆ)く 鳥(とり)でさえ
きっと帰(かえ)って 来(く)るものを
「あの子(こ)は今頃(いまごろ)どうしているでしょう、
雪(ゆき)と風(かぜ)のシベリアは寒(さむ)かろう、
つらかっただろうと命(いのち)の限(かぎ)り抱(だ)きしめて、暖(あたた)めてやりたい」
悲願(ひがん)十年(じゅうねん) この祈(いの)り
神様(かみさま)だけが 知(し)っている
流(なが)れる雲(くも)より 風(かぜ)よりも
つらいさだめの つらいさだめの
杖(つえ)ひとつ
「ああ風(かぜ)よ、心(こころ)あらば伝(つた)えてよ。
愛(いと)し子(ご)待(ま)ちて今日(きょう)も又(また)、
怒濤(どとう)砕(くだ)くる岸壁(がんぺき)に立(た)つ母(はは)の姿(すがた)を…」
- 专辑:浮世草紙
- 歌手:坂本冬美
- 歌曲:岸壁の母 (歌謡節入り)